近年、企業が管理すべきIT資産(PC、ソフトウェア、ネットワーク機器など)は増加の一途をたどっており、それに伴い情報漏洩やセキュリティリスクも複雑化しています。これらのリスクを最小限に抑えるために、IT資産管理ツールの導入は不可欠です。
本記事では、IT資産管理ツールで「できること」と「やるべきこと」について、機能面と運用面の両側から解説します。
IT資産管理ツールで出来ること
IT資産管理ツールにはさまざまな機能があります。以下の表は、代表的な機能について、一般的なIT資産管理ツールで対応可能かどうかを○×で示したものです。
機能 | 実現可能か |
---|---|
インベントリ収集 | ○ |
ソフトウェア配布 | ○ |
セキュリティパッチ配布 | ○ |
リモートコントロール | ○ |
IT資産棚卸 | ○ |
※すべてのIT資産管理ツールで各機能を実現できるわけではありません。機能実現有無は各IT資産管理ツールの仕様を確認する必要があることをご留意ください。
各機能の説明
- インベントリ収集
すべての端末やソフトウェアの情報を自動収集。端末のOSバージョンやインストールされているソフトウェア、搭載メモリ等様々な情報を収集可能です。 - ソフトウェア配布
業務用アプリケーションの一括インストールやバッチファイルのファイル配布等を効率化します。 - セキュリティパッチ配布
脆弱性への迅速な対応により、情報漏洩やマルウェア感染リスクを軽減できます。 - リモート接続
管理者がユーザの端末へリモート接続が可能で、トラブル対応を迅速に行えます。 - IT資産棚卸
定期的な資産棚卸を自動化し、内部統制を強化します。棚卸を行うことで資産の利用者・所在確認・利用状況を把握することが出来ます。
IT資産管理ツール導入後にやるべきこと
ツールは導入しただけでは不十分で、適切な運用が重要です。以下に、実施すべきことと、それを怠った場合のリスクを説明します。
やるべきこととその理由
- 最新情報の維持
- 定期的なインベントリ情報の確認と更新が必要です。
怠った場合のリスク:未使用機器の放置や不必要なライセンス利用料の発生、端末紛失による情報漏洩に繋がります。
- 定期的なインベントリ情報の確認と更新が必要です。
- パッチ適用の運用ルール設定
- セキュリティパッチはスケジュール・優先度を明確にして適用すべきです。
怠った場合のリスク:適用漏れがあると、脆弱性を悪用される可能性があります。特にCVSSスコアが高い脆弱性、エクスプロイトコードが存在する脆弱性は悪用されるリスク・悪用された場合の被害が大きい可能性が高いので、セキュリティパッチの適用ルールは明確に決定しておく必要があります。
- セキュリティパッチはスケジュール・優先度を明確にして適用すべきです。
- IT資産棚卸実施の頻度明確化
- 棚卸情報の鮮度を適切に保つために、棚卸頻度を明確に決定しておくべきです。
怠った場合のリスク:人事異動や退職等による棚卸実査に時間がかかることで棚卸1回あたりに時間がかかり、棚卸情報の鮮度を玉つことが難しくなります。
- 棚卸情報の鮮度を適切に保つために、棚卸頻度を明確に決定しておくべきです。
まとめ
いかがだったでしょうか。。IT資産管理ツールは、企業のIT環境を「見える化」し、「守る」ための重要な仕組みです。多機能なツールを導入するだけで満足せず、活用と運用の継続こそがセキュリティ強化の鍵です。IT資産管理の成熟度を高めることが、サイバー攻撃に強い企業基盤の構築に繋がります。
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